正統?異端?スガワラ的スジ彫り万能論
スジ彫り万能論・応用編その2


(2)違和感解消


前回、彫る角度を調節することでディテールアップになる=別パーツ感を出せるということを書きました。今回、更にその延長で「パーツ同士の違和感解消」にもなるというお話。まずこれを見て下さい。


アスカの肩。このキット持っている人は知っているだろうし、持っていない人も予測はつくだろうと思いますが、接合部、腕側が凸状・胴体側が凹状になってます。こんな感じのパーツ構成になってるキットって、他にも沢山ありますよね。で、これをくっつけたのが下。


どうですか?一見して何が言いたいか分かります?
・・・そう、パーツ同士の境目。接合部。どこで腕パーツと胴体パーツが分割されていたか、かな〜りわからなくなってるでしょ?

一般的に 、接合ラインを目立たなくするため、パーツ同士を摺り合わせることはよくやりますよね。熱湯やドライヤーで熱したり、パテやアルテコを盛って乾かないうちにムニュッとあわせたり。私は、その作業をきっちりやった上で、更に「対応する部分」のスジ彫りにひと工夫してます。


つまりココ。赤矢印部分。青矢印部分(パーツの分割ライン)は、上で書いたように斜めの角度で接合面が出来てます。なので、赤矢印部分もそれに対応する太さ、深さ、角度でスジ彫りを入れ直してあげるんです。
これをしてあげることで赤ラインと青ラインがそっくりな状態になります。即ち「片方だけラインが目立つ=違和感がある」のを誤魔化すことが出来ます。

もうちょっと具体的には、はじめは比較的太めに、はっきりとした彫りを入れてやり、更にその彫りの底から、斜めに深く潜り込む細いスジ彫りを入れる感じでしょうか。目立てヤスリ→Pカッター→エッチングノコ、という作業ですね。

このテクニックが最も有効なのは・・・ こういうキット。つまり水着です。


このペイ様も、青ラインがパーツの分割ライン・赤がスジ彫りラインです。青ラインの摺り合わせに注意を払い、きちんと処理してあげるのは当然として、それと同時に、赤ラインのスジ彫りの太さ・角度を青ラインと似せてやることで、このぐらいまでパーツ接合の違和感を解消できます。
本当は塗装する前に接着してしまって、改めて両方のラインを彫り直した方が良いに決まっています。でも、工程の都合上、そうも行かない場合も多いですよね。っていうか、そう行かない場合がほとんどだと思います。そんな時に重宝する、私が多用しているテクニックです。


(3)パーツ接合部分のスミ入れ

「スジ彫り」と直接の関係は無いんですが、上の話とは大いに関係あるので「パーツ接合部分のスミ入れ」説明しちゃいます。


上はアスカの股関節。胴体と両足が別パーツです。こういう部分、皆さんならどうしますか?私は悩みました。パーツの接合部分にはスミ入れが効かないんですよね。でも、他の部分にきっちりスミ入れしてるのに、ここだけしないってわけにもいかないし・・・後の工程の都合(マスキングしてツヤ分け)で、はじめに接着してしまうわけにももちろんいかないし・・・


んで、こうしました。接着前にエナメル筆塗りで黒く塗りつぶし。ちょっとだけ表面にはみ出るくらい。で、その後仮止めして、表面にはみ出た部分を綿棒にエナメルシンナー含ませたもので丹念に拭っていきました。
その後仮止めを外しツヤ消しクリアー上がけ・塗り分け。その後接着。


本来ならスミ入れは「流したまんま」が最も綺麗です。はみ出た部分を修正しようとすると、どうしてもすっきりした線にならず、ぶちた感じになりがち。でも今回は仕方ないです。丹念に修正していけば、上の写真ぐらいにはなります。(2)のアスカの肩も、実はこの方法で仕上げています。まぁ、こういうやり方もあるってことで。


あ、書くの忘れてました。最も基本的な、スミ入れのセオリー。

1)出来る限り細く深いスジ彫りを入れること
ガレージキットは特にそうですが、金型成形のインジェクションキット(普通のプラモ)でさえ、きちんとスミ入れするにはモールドが浅く、ダルイです。彫り直しは必須。
2)グロスの状態でやること
ご存じの通り、ツヤ消しの表面は極小の凸凹があります。ツヤ消しにしたところにスミ入れすると、毛細管現象で、その凸凹にまで塗料が流れていきます。滲んでしまうんですね。ベースはグロス(最低半ツヤ)の状態でスミ入れし、その後ツヤ消しクリアーを吹くようにします。
3)スミ入れ自体もグロスで
ご存じの通りスミ入れはエナメルで、というのが基本です。更に、ツヤ消しではなくグロスのエナメル塗料でやりましょう。エナメルシンナーでかな〜り薄く溶くのは当たり前ですが、その時ツヤ消し材が混ざっていると、あとからそれが浮き上がってくるような感じ。白い斑点状になってしまいます。下地もグロスで、スミ入れ自体もグロスでやりましょう。